院長ブログBLOG

医学部に行きたい女の子やーい。

先日、と言ってもどの位前か、( 1-3か月前?) 判らなくなってしまったのですが、医学部に行きたいという女の子がみえました。私にアドバイスを求めたんですが、どうもうまくお答えできませんでした。 どうしても、その子に伝えたい事があって、暫く前からのカルテを全部出して、調べて、この子かな? と思ったお宅にお電話したんですけど、違ってしまいました。 (違った方、煩くしてすみませんでした。)

医学部に行きたい女の子の患者さん、もしこれを見たら、電話して下さいね。そして、ママと一緒に来て私の話を聞いて貰いたいんですけど、上手くこれを読んでくれるかしら? あまり可能性が無いように思いますが、それでも少しの可能性にかけてみたいと考えてこれを書いているんです。

どうして私が直ぐ賛成して、それは良いわね、がんばってね、みたいな事を言わなかったかと言いますと、医師になるのはものすごく大変なんですよ。それなのに、これからは報われないだろうと言われているんです。 医学部はまだ人気があって、試験に受かるのは大変ですね。 そして、やっと受かって大学に入っても全然遊ぶなんて事はできません。 朝から晩まで勉強ですよ。 私が学生だった頃、朝の8時15分から授業がありました。 毎日朝からずっとですよ。 それは非常に広範囲に学ばねばならないからです。そして、今では、大学6年を終えて卒業しても5年間の研修医生活が待っています。 その後大学院に3年位行って学位を取るとか、大学院に行かない場合は4-5年の研究員をして学位を取ります。またその後、専門医と言うものを取らなければなりません。そうこうする内に15,6年経ってしまいます。私も専門医も学位も持っています。 特別役に立つという実感はありませんが、無いと医師として淋しいですね。

そんな訳で、医学部に行くと、女の子の人生で華の18歳からの15年間が厳しいものになるでしょう。 私の息子は内科医ですが、医師になって幸せと思うか?と祖母に聞かれて、即答しませんでした。 その後、ややあって、「犠牲にする物が多すぎる」 と答えました。私は息子が、医師になって不幸なのか、と胸が潰れる思いでしたが、息子の言う事は正しいです。私自身は、高校2年生、17歳の時に世の中と自分の適性を考えて医師になろうと決め、親に相談なんて夢にも思いませんでしたね。 実行あるのみです。 そもそも、その頃の私は親なんて、相談相手として見ていませんでしたからね。 良いか悪いかは別として実行力はありましたから。今でもそれは変わりませんが。

さあ、そんな訳で、医学部に行くと一人前になるのに15年位かかってしまい、32-33歳になってしまいます。 そして、勤務は大変で、殆ど眠れない事はザラ、72時間連続勤務です。当直の無い科へ行けば良いかも知れませんが、いろんな可能性を考えておいた方が良いと思いますよ。私も御多分に漏れず失う物は多かったんです。それでも自分で選んだ道ですからまっしぐらに進んで来て悔いは無いのですが、只一つ、息子に愛情に満ちた家庭を築いてやれなかった事は残念で大きな間違いでした。だって母親は仕事ばかりしているんですものね。 息子に構っていられなかったんですよ。 今思うと本当に残念なんですが、若い頃は、そんなことに価値を見出すことができませんでした。母親って子供にとっては、絶対的な、一番大切な人なのにかわいそうな事をしてしまいました。

さて、今、医師は比較的高収入と思われていますが、将来は、医師は余り、普通と同じになると考えられていて、責任だけが重くなりそうです。 只、女性の医師が多くなるので、休業する医師やパートの医師が多くなり医師は余らず、相変わらずある程度の高収入を維持できるという考えもありますが、真実は判りません。クラス会に行ったら、勤務医の10倍の収入の女性が居て、職業は外資系のナントカカントカ だという話を読みましたが、それはそれで大変かと思います。弁護士も余って、仕事が無い人もいると聞きますし、将来、何が有利か判りませんが、少なくとも医師は、女性の大切な華の15年をも費やしてなる価値があるかどうか疑問に思います。本人が好きでなりたいなら止めませんが、失う物も多く、収入の面でも報われない可能性が高くなるので良く考えて下さいね。これが私が言いたい事の要旨ですが、もっと詳しくお話したいので、これを読んだら電話して下さい。

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