毎日の仕事の中で良く聞かれます。 診察が終わると「風邪でしょうか?」と言われる事がとても多いのですが、本当の事をいうと判りません。 風邪と診断を決めるのには根拠が必要ですが、それはなかなか困難です。私達の仕事は探偵、または警察と同じ面がありまして、症状や診察の結果から疑わしい病気を考える、次に検査してその証拠を確かめるというところです。 ところが風邪等では、この証拠固めが困難、または不必要です。普通は数日で治るものですから検査の必要もありません。
だから、正確に答えるのは難しいのです。 うっかりすると、”あそこで風邪っていわれたのに違った”という事になってしまいます。 また、最初は風邪だったのに治らなくて気管支炎になってしまったというケースも出てくるでしょう。 本当の事をいうと、風邪ウィルスだけで300種類あるそうです。 これでは診断も難しくなってきます。 風邪です、と決めるのも難しいのです。そこで、”まあ何かウィルス感染でしょうか?”という歯切れの悪い表現になるのですが、医学的になるべく正しく言おうとするとこうなってしまうのです。
先日、この説明をして、”風邪とハッキリ診断名を決める事はできないんです”、 とお話ししたら、ママがでていきながら「良かったねー。風邪だってー」と言ったのガックリ。