今日、 ”コウノトリ” と言う番組を撮ったパパが見えました。 なかなかお会いするチャンスが無いので嬉しかったです。 そしてなんと、私がこのコラムに書いたのを読んだとおっしゃいました。今、思うと不思議なんですけど、その時は、少し患者さんが混んでいたので、いろんな事をしゃべろうと思って、大焦り、 どんどんと鉄砲玉のようにしゃべってしまい、後から考えると、その方は、番組を作るのに散々取材をなさったんでしょうから、もう充分ご存じの事ばかりでした。ヤレヤレです。
その方と話していて、いまだに小児医療の大変な部分は医師の私生活を犠牲にした上に成り立ち、やる気が頼りみたいな部分があるのに驚きました。これでは、私が勤務医だった頃と変わらないです。もっと余裕が出来ているかと思いましたが、全く前進していないようなので医師側も少し方向転換を考えるべきかと思いました。 もちろん、患者さんを放っておいて、帰宅するなんて出来ませんが、主治医をグループ制にするとか、1人の所を2人にするとかしていかないと破綻するのではないでしょうか? キチンと要求しないとあちらからはくれないと思います。 私がここで力んでも効果が無いのですが、なんとか若い先生方に個人生活も医師としての生活も両立させて頂き、正常な生活を送って頂きたいのです。いかにメチャクチャな生活をして、頑張ってきたか、を自慢する時代は終わりにした方が良いのではないでしょうか。 キチンとしてシステムを作り、普通に生活出来て、医師としても一人の間としても普通に暮らせるようにならないと将来性が無いと思うのは私だけでしょうか。
私の従弟は高名な医学部を出て結婚し、子供もできたのに、奥方から離婚を申し立てられ、その理由の一つに、日曜日でも病院に行ってしまう、というのがあったのです。医師と結婚したら、幸せになると思いきや、ほったらかしみたい、いつも夫は留守、では不満も溜まるでしょうね。医師である従弟は仕事に一生懸命ですが、家庭は上手くいきませんでした。こういう事も、余裕が出来れば減ると思います。
これを書いていて、今日、又、おかしな事を思い出しました。 昔、当直していた頃、当直室のベッドがあまりにも古くて、真ん中が人間の形に窪み、寝られなかったので、ある豪傑が院長の所へ行き、”寝られないからベッドを交換して欲しい” と掛け合ったのです。 院長の答えは、「諸君は、寝る必要はありません」 というものでした。
また、ある晩、患者さんの容態が悪くなって、私ともう一人の女性の先生が、臨時当直の為部屋を都合して寝ていたら、外科の男性の先生がドアを叩き、「ここは外科の部屋だ」と言うんです。 私達も困ったのですが、夜ですし、事務もいないし、もう当直室も探せないし、このまま居座ろうとなって立てこもっていたら、やがて諦めていなくなりました。一体あれは誰だったのかねー。しかし、こんなバカな事ではいけないですね。横になる部屋も無いなんて、非人間的ですからね。 当直だったら寝なくも良いと思うかも知れませんが、次の日も全く普通の勤務で、72時間連続勤務なんてのはザラだったんですよ。 救急の講義でも、心身共に疲れている時、医療事故は起こりやすいと言っています。 今はもうこんな事は無いと良いのですが。
医師として生きるには、私生活を犠牲にするしかないなんて、おかしいですよね。 私生活も公的な生活も共に大切、車の両輪のような物、両方とも上手く行ってこそ人間として幸せだと思います。今の学生さんや若い先生方には、皮膚科とか眼科とか当直が無い、楽? な科が人気だそうですが、好きな科を選んで精一杯生きて欲しいと思います。